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世界へ羽ばたく「岐阜の名作椅子」、直感で出会った我が家の「一選」
2021.05.17
工務部積算担当の加藤です。
家づくりに熱心な方は、おそらく家具選びにも熱心な方が多いのではないでしょうか?
前回(2021.03.01)『世界へ羽ばたく日本の名作椅子~直観で出会ったわが家の一選』に続き、家具のなかでもカラダに直接触れるものとして、今回も「椅子」をテーマにお届けします。
座り心地の良い椅子・・・
「心地良い」という視点で椅子選びをする場合、求めるものも人それぞれでしょう。
前回ご紹介したマルニ木工「HIROSHIMAアームチェア」につづき、ダイニングテーブルに合わせるダイニングチェアを探すため、熱心に椅子選びをし、名作椅子の名に相応しい一脚に出会えたエピソード2をご紹介しましょう。
当初、私が椅子に求めたこだわりは、「カラダに触れるものだから、自分のカラダで座ってみて「コレだ!」と思える一脚を見つけたい」でした。
我が家の最初の2脚が、家具専門店で何十脚という椅子を何度も試し座りすることを繰り返すなかで、偶然にもカラダが直感的に反応した本物を選んだものですから、追加予定の2脚も同じように選ぼうと考えていました。
新居が落ち着いた2016年の春、青空と新緑と満開の芝桜が爽快なせせらぎ街道をドライブしながら高山へ遊びに行くことにしました。
もちろん、第一の目的は椅子探しです。
私たちの暮らす岐阜県には飛騨地方があります。
「飛騨の匠」と呼ばれる木工技術は、世界的に見ても最高峰であり、その評価の代名詞でもあります。
既に奈良・平安時代から時の都で高い評価を得るほど卓越したものがあったというから驚きです。
当時の木工技術の活用先は、もちろん家具ではなく建築技術ではありましたが、時を経て、洋文化が浸透していった大正期には、地元ブナ材を使った曲木技術から家具産業が発達しました。
今では、飛騨産業を始め、日進木工・柏木工・オークヴィレッジなど多くの家具企業群が切磋琢磨し、飛騨家具として、さまざまな魅力的な家具製品が日本はもとより世界を舞台に活躍しています。
そんな岐阜県が世界へ誇る飛騨家具ですから、HIROSHIMAアームチェアのデザイナー深澤直人氏が目指した「カラダに選ばれないと、椅子って本物にはなれない」といわれるホンモノがあるに違いないと期待したのです。
特に下調べをすることもなくカラダが選ぶ一脚が見つかるワクワク感とともに、最初に訪れたのは柏木工のショールームです。
郡上から高山へ抜けるせせらぎ街道を経て、高山市街地に入る一歩手前に、平屋一棟建ての一際大きなショールームがあります。
大屋根の下にすべての家具が展示されており、ここに入っただけで飛騨家具の世界観を楽しむことができるのです。
伝統的な設えのものから、現代的なものまで実に多様なものがあり、奥深い世界観を感じます。
量販店家具とは異なり、見るだけでも一品一品にどれも造り込まれた質感が宿ります。
ここでも、自分のカラダで試し座りをして確かめることを楽しみます。
まずは普通に腰かけたときの直感を大切にし、次に、姿勢をいろいろと変えたときのレスポンスを感じ…
といった具合に、順々にショールーム内の椅子椅子を体感していきます。
すると、柏木工で早くも「これいいわ!」と直感する一脚と出会ったのです!
一通りの柏木工を体感したあと、高山市街地にある飛騨産業の家具ショールームを訪れました。
同じようにひとつひとつを順々に試し座りさせていただきます。
どれだけ座ったのか数えきれないほどになっていたとは思いますが、各社様々に造り込まれた作品のなかから最終的にカラダが選んだ一脚は、柏木工でのあの一脚となったのです。
その名は、「CIVIL」、通称シビルチェアと呼ばれているものです。
カラダの包まれ感、とりわけ背中にかけての包まれ感が心地良いのです。
構成する部材1本1本のカラダへの当たりまで緻密に考えられているのでしょう。
その良さを、なかなかうまく言葉で表現できないわけですが、一言でいえば、長時間座っていたくなる椅子なのです。
さらに嬉しいのは、マルニ木工「HIROSHIMAアームチェア」と同様に、柏木工「CIVIL」もまた造形の美しさが秀逸なのです!
後に調べると、そのデザイナーは、柏木工の牛丸敏彦氏。
ホームページに紹介された牛丸氏は、控えめながら作業着を着たベテランの風格があります。
長年の家具づくりから培った価値観のすべてを、作品としてこのCIVILシリーズに込めたのでしょう。
驚いたのはそのデザイナーからのメッセージです。
「まずは、椅子に座ってください」
この一文しかない潔さ。
しかし、このストレートなメッセージにその意図のすべてを込める奥深さ。
まさに、座ればカラダが解るということなのでしょう。
愛用を始めて5年が経ちますが、カラダが選んだホンモノは永く付き合える価値があります。
家づくりにあたって、家具選びや椅子選びを熱心にされる方は、ぜひ、私のような良い意味での頑固さをもつと、楽しめますし、きっと一生ものの良い出会いがあるのでお勧めです。
できれば、地元岐阜の産品が加わることも暮らしに彩りを添えることになると思いますよ。
【お断り】1枚目2枚目の画像は柏木工さんホームページより
https://www.kashiwa.gr.jp/products/funiture/civil.html
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