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後悔しない吹き抜けのある家づくりとは!? メリット・デメリットと実例紹介
2021.02.01
こんにちは、森住建設計事業部の永井です。
「せっかく家を建てるなら、広々とした空間がほしい」。 マイホームを考える際に、こう思う人は少なくないでしょう。 特に開放感の象徴とも言える「吹き抜け」の人気は根強く 、これまで複数のお客様よりご要望をいただいてきました。確かに吹き抜けには多くのメリットがありますが、デメリットの存在も忘れてはなりません。「憧れだから」と安易な考えで取り入れてしまうと、思わぬ後悔を招くことも。そこで今回は、 設計士の立場から吹き抜けを検討する際に覚えておきたいポイント をまとめました。
目次
人気の平屋でも勾配天井を設ければ、吹き抜けのような開放感が手に入る
>>岐阜県揖斐郡池田町 K様デザインにとことんこだわった2世帯住宅
はじめに、吹き抜けとは何かを改めて説明させていただきます。
吹き抜けは建物1階の天井と2階の床を設けずに、上層と下層が連続している空間のこと。 上層と下層がつながっていることになりますので、その空間はとても開放的です。取り入れる場所としては、玄関やリビング、階段スペースが主流になっています。
吹き抜けは、複数階建ての建物でないと採用できないと思っていませんか? 近年需要のある平屋でも勾配天井と組み合わせれば、高さにコントラストを設けることができ、吹き抜けと同様の開放感が得られます。
森住建でも平屋をご検討されるお客さまは増加傾向に。その中でも縦への広がりにこだわる方には、勾配天井をご提案させていただくことが多いです。
吹き抜けは開放感だけでなく、風通しや採光にもつながる
>>岐阜県岐阜市 M様「ラクに、楽しく。共働きのご夫婦を支え、ともに成長する家 」
それでは、吹き抜けの代表的なメリットを挙げてみます。
吹き抜けのメリット
○抜群の開放感
すでに申し上げてきましたが、 開放感こそが吹き抜け最大の魅力。 視界が開けるので、限られたスペースも広く見えます。
○すぐれた採光機能
1階から上階の天井まで遮るものが何もありません。そのため、 上階の窓からたくさんの日光を取り入れて、1階まで明るくすることができます。 特に住宅が密集するエリアでは、家に光が入りづらいこともあり、それを解消するために吹き抜けは効果的。また、小さめの土地に建てる場合も同様です。
○風通しがよい
吹き抜けによって縦に広がりが生まれた家の中は、空気が上下に流れ、家全体に新鮮な空気が行き渡るようになります。また、 そのおかげで湿気やカビの発生を抑制でき、健康的な暮らしが維持しやすくなるでしょう。
○コミュニケーションが取りやすい
吹き抜けは上下階の空間がつながっていますので、1階から2階に声が届きます。また、2階に子ども部屋を設けた場合、1階で家事をする親の気配を感じやすく、子どもも安心です。
開放感やすぐれた採光機能など、オープン空間だからこそのメリットは、やはり特筆。また、吹き抜けは見た目にもオシャレな仕上がりだと感じませんか? 上階からペンダントライトを吊るしてみたり、シーリングファンを取り付ける などすれば、さらに素敵な雰囲気を演出できるでしょう。
暮らしに関わってくるデメリットを十分理解して
次に、デメリットを一緒に考えましょう。
吹き抜けのデメリット
×2階の間取りに影響が出る
2階の床面積が狭くなる分、 場合によっては部屋数が少なくなったり、収納が小さくなる可能性が高まります。
×冷暖房効率が下がる
開放的な大空間ともなれば、冷やしたり、暖めたりする際、エアコンに大きな負荷がかかるでしょう。また、暖かい空気は上へ、冷たい空気は下に流れる性質があります。 冬場は吹き抜けの上層は暖かくなっても、リビングなどがある下層が暖まりにくく、エアコンをついフル稼働にしがちです。
×コストがかかる(場合もある)
「吹き抜けもほしいし、2Fの部屋数と収納の大きさも妥協できない!」 。そのような場合は、家自体を大きくするしかありません。となると、当然コストが上がります。また、吹き抜けに意匠性を求める方は、化粧梁をご提案しますが、その分の材料代もかかってしまいます。
×掃除が大変
吹き抜けの上階にある窓や照明には手が届かないので、清掃は高所用の掃除道具が必要です。なお、専門業者に清掃を依頼される方もいます。
×音が筒抜け
上下階でコミュニケーションが取りやすく、気配を感じられるというメリットは、 裏返すと生活音が筒抜けというデメリットにも置き換えられるんです 。何か集中して物事に取り組みたいときは、双方の生活音が気になるかもしれません。音と同様、調理中のにおいも上階に届いてしまいます。
冷暖房効率、清掃の手間、音の問題は、暮らしに大きく関わるので、デメリットの中でも特に考慮すべきだと考えます。
吹き抜けのデメリットは、工夫次第で解消、または軽減できる
吹き抜けは、機能、見た目ともに開放感にあふれています。しかしその点ばかりに目を向けるのではなく、 どうして吹き抜けが必要なのかをよく考えて、そのほかのこだわりとの優先順位を比べましょう。 仮に、部屋数や収納の大きさの方が優先順位として高いなら、吹き抜けの有無については慎重に検討すべきです。
冷暖房効率が下がるといったデメリットも、家の気密性や断熱性を上げれば解消できます。また、音の問題は、下の階の声が響いても気にならないような間取りを考えましょう。特に、二世帯住宅で生活時間が異なるご家庭は、吹き抜けによって響き渡る音には注意が必要なので、防音対策を施すのもひとつのアイデアだと思います。
住む方が後悔しないような設計を施すのが、私たち設計職の腕の見せどころ。 吹き抜けのデメリットも、工夫次第で、解消または軽減させることができます ので、まずは一度ご相談ください。
PROFILE
永井りゑ
設計事業部・新築設計課