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明かりの魔法 ~照明がつくる居心地のよい世界観~

2024.10.31

明かりの魔法 ~照明がつくる居心地のよい世界観~

工務部積算担当の加藤です。

家づくりに熱心な方は、それぞれにこだわりをお持ちだと思います。
幸い、今は様々なこだわりに応えられる豊富な建築材料や工法がありますので、“おうちづくり”をするなかでその“こだわり”をカタチにしやすい時代ともいえるでしょう。

このところは、ようやく涼しくなり、気が付けば日が暮れるのもすっかり早くなってきました。
そうすると、夜の時間も長くなり、“明かりが灯ったおうち時間“を楽しめる季節がやってきます。

私の担当する積算部門の仕事とはまったく関係ないのですが、いま私が魅せられている“明かりのチカラ”についての実体験から少しご紹介したいと思います。
実は、私自身も今年のはじめに森住建でコンパクトな自宅を新築しましたが、その新居に付ける“明かり(照明)”は、設計段階から自分なりに一つ一つ丁寧に選んでみたのです。

約半年間の暮らしのなかで、“明かりがつくる居心地の良い世界観=明かりのチカラ“が何となくわかってきたので、この場でぜひお伝えできたらと思ったのです。

私は、もともと賃貸住まいのころから、いわゆる天井にポン付けできるシーリングライトを外し、自分で配線ダクトレール式照明に取替え、照明を好きなように変えられる暮らしを10年以上好んでしていました。
配線ダクト式照明の面白みは、照明の数、位置、角度自由に変えられるので、こうしたいと思えば、ある程度好きなように“明かり具合”をコントロールできます。
配線ダクト式照明は、もし失敗しても元に戻せる“リセット感”があることや、何度でも色々と試すことができる“自由度”があり、住みながら“自分好みを探せる”のが、最大の魅力でしょう。

考えてみますと、おうち時間のほとんどは“明かり”を灯す夜の時間が多いですし、大袈裟に言えば、その“明かり”を上手につくることは、“いつもの暮らしに彩りを演出してくれる”という意味でとても大切な要素だと思っています。
少し違いますが、夜の時間を大切に暮らす北欧の“ヒュッゲ”のようなイメージに近いのかもしれません。

では、そうした“明かり”をどうつくるのか?は、実際のところ今でもよく分かりません。
新居の照明選びは、PanasonicDAIKOなど、メジャーな照明メーカーのWEBカタログを隅々まで見ることからスタートしました。どんなものがあるのか?ザ~っとイメージするためです。ビックリするのは、照明ジャンルごとに、似たような照明器具ものすごい種類と数が載っているのです。パッと見、何がどう違うのかホントウによく分かりません。逆に、これだけの種類と数から、どうやって上手に使い分けるのかな?と段々興味が湧いてきました。

注意深く見ると、灯具自体は同じように見えても、“明かり”の「大きさ」、「明るさ」、「強さ」、「色」、「鮮やかさ」、「拡がり感」などなど、光り方の様々なモノサシが少しずつ違っているのです
。その違いが、実際どのように光り、照らしてくれるのかは、カタログを見ながらイメージを膨らませました。
そうすると、膨大な照明器具から、段々とこういうのが好みかな?というイメージが絞られてきたのです。

最終的にできあがったイメージに合わせた照明器具はこんな感じです。

まず、家に帰ってきたとき、玄関ポーチを歩きます。

人が通るときだけ明るく、いないときはほのかに明るいといいかな?
灯具自体の存在感はできる限り消し、足元だけを照らされているといいかな?
といった具合に。庇の天井面に埋込み、ほぼ光源が見えないのに、足元のみを照らすことができる「グレアレス式ダウンライト」。
万が一、照らす方向を変えたいときは、向きを灯具のなかで調整できる「ユニバーサル式」を選びました。

次に、家の中に入ったとき、玄関や廊下を通ります。こちらも玄関ポーチと同様に、足元だけを照らせるといいかな?というイメージをキープ。
天井面の光源がほぼ見えず、明かりの拡がる範囲を絞って、廊下の幅だけを照らすための「グレアレス式ダウンライト」です。
取付け位置は、他の部屋へ入る位置(交差点)のみに取り付けることで廊下の途中で変な影をつくらず必要な範囲をスッキリと照らすようにしました。



メインとなるLDKは、天井照明を中心に計画しました。
天井照明の最優先は、“可変性”があることです。先ほどの配線ダクトレールをリビング・ダイニング・キッチンに目立たないように埋め込みます。
ダクトの位置だけは後から変えられないので、キッチンの上だけは照明を取り付けたときに、造作物の影響で意図しない影が1mmも出ないよう実物で慎重に確認をしてから、ミリ単位で位置決めをしました。

肝心のダクトに取り付ける照明灯具は、次のような順序で選んでいきました。

第一は、狙ったエリアを自由に照らすことができるスポット型を選びました。
これは、灯具は配線ダクトレールの上であれば、自由に動かせます。
動かした場所で、照らす“向き”も自由に変えられるように考えます。

例えば、リビングであれば壁面を、ソファ上を。ダイニングであればテーブルの上だけを。
キッチンであればシンク上を、作業台上をというように、明るみと暗がりのあるメリハリをつけた“明かり”をつくります。

第二は、明かりの“拡がり具合”を調整できる可変配光型を選びました。
これは、明かりの“拡がり具合“で明るさの感じ方が変わります。好きなところに付けてみて、照らしてみて、明るさの拡がりを確認しながら、しっくりポイントを見つけて”明かり“をつくります。

第三は、明かりの“鮮やかさ”を演出できるRa値95型の灯具を選びました。
これは、スーパーの精肉や鮮魚コーナーでお肉やお魚を美味しそうに魅せるあの魔法がかった照明機能のことです。
一般的にはRa値85クラスの灯具が主流ですが、95クラスにするだけで、数字以上の効果が現れるので驚きです。
感覚的には、ふつうの納豆でさえも1.5倍くらいは視覚的に美味しい“明かり”をつくれます。

第四は、“眩しさを抑える”グレアレス型を選びました。光源をできるだけ隠す造りで眩しさによる不快感を与えない“明かり”づくりができます。


このように、イメージに合わせた“明かり”を選んでいった結果、意図した明るみと暗がり、光と影が、明かりの濃淡となって家中に拡がりました。

明かりの濃淡は、コンパクトな家も視覚的に広く感じさせますし、ゆったりとした寛ぎ感と、落ち着きを感じることができます。
もちろん、必要なところは明るいですし、質感の高い明かりであれば、食事づくりや食事のときの楽しみも無意識に増やしてくれています。
退屈な食事の後片付けでさえも、気分を明るくしてくれますよ。

実際に、明るい昼間と、“つくられた明かり“が照らす夜の質感は、同じ部屋でも180°くらい居心地が変化するところは、一度で二度美味しい満足感も得られます。
照明選びにも100人いたら100通りの提案があると思いますが、おうちづくりのポイントに照明が入る方は、ぜひ『こだわりの明かりの世界』を追求されてはいかがでしょうか。

【画像出典】Panasonic照明カタログ、DAIKO照明カタログ

 

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